行きつけの映画評サイトでは評判の良くなかった映画、ゼブラーマンのマンガを購入。といっても原作ではなくて、タイアップ作品というのだろうか。前にも日記で書いたけど、くどうかんくろう(どうでもいい)の脚本を原作に「Bバージン」でソコソコ売れた(と思う)山田玲司がマンガ化しているもの。
山田玲司は小学館系の漫画家で、もう10年はマンガを描いているのにまるっきり進歩のない雑然とした古臭い絵と、自己陶酔というか、恐らく自分自身に向けた強いメッセージ性、そして独特のコミカルな演出が特徴。というと貶しているように聞こえるかもしれないが、俺はこの漫画家がとても好きだ。代表作Bバージンとか何度泣いたかわからない。
ドラマでも映画でもマンガでも小説でもアニメでも、俺は基本的にメッセージ性のない話というのは好きじゃない。
メッセージ性といっても勿論エンターテイメントである限り、ソレばかりを前面に押し出した暑苦しく独り善がりな話は遠慮するが、作者が何も考えずに流行やヒットだけを狙ったり、自分の欲望を露わにしただけのような薄っぺらな話は好きじゃない。ソレが読者に語りかけたり、理解を求めるようなものである必要はなく、とにかく作者が書くこと自体に金以外の何かを得ているような、そういう話が好きだ。基本的に(GANTZとか違う路線です)。
なにかこう、紙面から漂う情熱とか喜びとかいう、雰囲気みたいなもの。
そういったメッセージ性が強く、共感できて、かつマンガ自体も面白可笑しく楽しかったり泣けたり考えさせられるのが山田玲司。
でもこのメッセージは前述の通り、読者に向けてというよりも、作者自分自身を奮い立たせる目的の方が強いように思える。それをみて同じような気持ちを抱いている読者が共感したり、感動したりしている感じ。
ソレも単に「最低限自分に恥ずかしくないように生きれよ」程度の話なんだけど。楽に生きていくために長いものに巻かれたり、妥協したり、諦めたり、それを言い訳したりしないで、スジを通せよ、とかそういう。
簡単なことでもなかなかできねーけどな。面倒臭いし。疲れるし。
まぁそういう漫画家です。暑苦しくてイイ。
で、初長編Bバージンがソコソコ受けたにもかかわらずその後は長編をやるたびに巻数が減っていって、俺も暫く見ていなかったりしたんだけど、久々の山田玲司はやっぱり山田玲司で安心した。面白かったし、頑張っていた。
また1つ続きが楽しみなマンガが増えた。
ひとつ気に入らなかったのがamazonの商品ページ。
宮藤 官九郎 (著), 山田 玲司 (イラスト)
イラストってなんだゴルァ! 原作クドウで著が山田だッ!!
バガボンドは「井上 雄彦 (著), 吉川 英治 (著)」なのに。もう。
いや、実際どの程度クドウナントカが絡んでるか知らないけど、映画との再部の違いを見ている限り、結構山田オリジナル要素が大きい気がするんだけどな。サバンナ博士とか。宇宙人がグレイなのもオリジナルじゃねーのかなぁ(少なくともネット上の映画あらすじでは触れられていなかった。重要だと思うんだけど)。
まぁ、これで一般人にも売れて好きなものを描けるようになるといいんだけど。でも映画もイマイチコケ気味だったしネ…
最初ニュースで見たときは「なんで山田?」とか思ったんだけど、読んでみたら納得したというか。ダメな奴がなんとか足掻いて頑張る話を描かせるなら山田だな。
※冒頭のサイトの映画評では最後に「これが今人気の脚本家だって言うんだから日本の映画界の将来が不安」みたいなことがかかれていたのに、いつの間にか消えてるネ!
ゼブラーマン
主人公は40代の小学校教師。妻は不倫、娘は援交、息子はイジメに遭い、担当のクラスは学級崩壊寸前。クラスの女の子に「先生みたいなオトナにはなりません」とか言われる始末。それでも「俺なんてマシな方だ」「こんなの普通だろ?」と適当に日々を過ごし、子供の頃から好きだった特撮ヒーロー「ゼブラーマン」にのめりこむ日々。そんなある日、自前のゼブラーマンスーツを完成させた主人公は深夜にコッソリコスプレのまま外へ。そこで(娘に目撃されたり)最近世間を騒がせている女子高生連続殺人犯らしきコスプレ蟹怪人と遭遇し、これを撃退、良くわからないまま女子高生の命を救ったっぽい。翌日、娘のみどりが家出し、行方不明に……
Bバージン
主人公は重度の生物(特に亀)オタク。高校時代典型的なデブオタだった彼は、大学入学をきっかけに、三人の姉妹の指導の下、超モテ野郎へと変身する。生物オタクであることをひた隠しにしてモテ夫を装う主人公の目的はただひとつ、初恋の人である桂木ユイ。さまざまな障害(元オタ仲間とか…)を乗り越えて桂木ユイを手に入れるまでの話のようでいて、一人のオタがアイデンティティを確立させる成長話でもある感じ。
そういえば山田作品に必ず出てくるゲイの人はゼブラーマンにも出てくるのでしょうか。